80年、90年代には、ブランドの最も著名なアイコンの一つである鮮やかなプリントの生地が次々に生み出されました。
日本がバブルの時代、ゴージャスな雰囲気が受け、バブル期のイタリアブランドをアルマーニと共にけん引していました。
ブランドのアイコンであるメドゥーサのゴールドアクセサリーやロゴシャツ、スーツなど、ギラギラした雰囲気はバブル期にふさわしく、
ヴェルサーチは日本のバブル期のイタリアブランドの象徴的存在であったと言えます。
1997年に悲劇的な事件が起こりました。
創業者であるジャンニ・ヴェルサーチが射殺され急逝したのです。
飛ぶ鳥を落とす勢いで邁進していた最中の悲劇でした。
彼の会社の価値は807万ドルに達し、世界中に130の店舗を有するまでの規模に成長していました。
ジャンニの死後は、彼の妹であるドナテラがヘッドデザイナーとしてブランドを運営。
ブランド名は彼の名を冠したジャンニ・ヴェルサーチからヴェルサーチへと名前を変えました。
ヴェルサーチの顔であるメドゥーサ、ギリシア神話に登場する怪物で、ゴルゴーン3姉妹の1人であり、名前は「女王」を意味しています。
元々美少女であったメドゥーサは、海神ポセイドンとアテナの神殿の1つで交わったためにアテナの怒りを買い、醜い怪物にされてしまいました。
自分の髪を自慢としていたため、アテナと美を競ってその髪を蛇に変えられたともいわれています。
ヴェルサーチはなぜ恐ろしい怪物をブランドのアイコンにしたのでしょうか?
その答えは、メドゥーサ=ヴェルサーチのビジョンということです。
メデューサが表現しているのは、伝統と古典的雰囲気に対するヴェルサーチの愛着なのです。
ジャンニ・ベルサーチには『輝き・独創性・スタイルで観客を驚かせたい』という強い思いがあり、その象徴がメデューサでした。
「古典的なスタイルを現代的に解釈して、観客を驚かせること」は驚きと美しさが同居する、メデゥーサのイメージそのものでした。