プラチナは金と比較して供給量が1/15と圧倒的に少なく、さらに産出地も南アフリカとロシアに偏っているという特徴があります。
そのため、供給は南アフリカの情勢に大きく影響され、値動きにも反映される傾向にあります。
一方、需要の多くが工業分野(約7.5割)であり、残りは装飾品です。とくに自動車産業での需要が大きく、影響も大きいと言えます。
近年の値動きを見ていくと、金は高騰しプラチナは低下傾向にあります。
そのため、プラチナの価値が落ちて、安くなったと考える方も少なくありません。
しかしこの実態は、世界情勢の変化によるところが多いと考えられます。
そもそもプラチナは優れた触媒作用と化学的安定性から、ディーゼル車の浄化触媒に多く利用されてきました。
しかし、世界的な脱炭素気運の高まりでディーゼル車の需要が減ると、それに連動してプラチナの需要も低下。結果、価値が低下傾向となったのです。
一方、金は宝飾品・投資需要が中心で、工業分野での需要はわずかなもの。
さらに、世界情勢の悪化時には「安全資産」として捉えられます。近年の新型コロナウィルスまん延やロシアによるウクライナ侵攻といった状況は、金の価格高騰につながりました。
こうして見てみると、プラチナ自体の価値は低下傾向ではあるものの、大きな下落とは言えません。
一方、金が世界情勢の悪化によって高騰したため、見え方としてプラチナの価値が下落したように感じられるのです。