金相場高騰について少しお話させていただきます。
金価格が年々右肩上がりに上昇しているのには、大きく2つの理由があります。
1つは「金の需要が高まったため」、そしてもう1つは「金が投資商品として投資の対象となったため」です。
もともと、金の購入は資産として所有することが主たる目的でした。しかし近年では、スマホやパソコン、精密機械などの素材として工業利用されるケースが増え、
さまざまな分野で金の需要が高まっています。
要するに、金の需要が高まったことから、金が投資の対象となり取引が活発となったため、金価格が上昇を続けているということです。
そして、為替市場や先物市場などのシステムが整備されたこともあり、金価格は為替や先物取引とリンクして変動するようになっています。
金価格は、10年前の2010年には平均3,477円/グラムで取引が行われていました。現在の金価格相場と比較すると、金の価値が長期的に上昇していることが分かります。
2021年の世界経済はコロナショックから回復の兆候が見られたものの、根強い金需要は続いている状況です。
2021年はワクチンの開発や各国でのロックダウン解除など、金の売り材料となる経済活動の再開が進みました。
しかし、アルファ株・デルタ株・オミクロン株と新型株が次々に出現し、新型コロナウイルス感染症は終息の見通しが立っていません。
新型コロナウイルスは依然として世界経済におけるリスク要因であり、経済の先行き不透明感が金の需要を支えています。
そのため、安全・安心資産である金に、世界中の機関投資家や個人投資家の資金が集まっています。
このように、現在の金相場は上昇トレンドにある状況です。しかし、投資をする際にも売買にも価格下落のリスクにも配慮する必要があります。
2022年の金価格を左右する要因の1つが「ウクライナショック」です。ロシアのウクライナ侵攻は世界経済に影響を及ぼし、
金価格は2022年4月に8,154円/グラムの高値にまで高騰しました。
ウクライナショックが金価格に影響を与える理由は、国の発行する通貨や企業が発行する株式に対する信用が低下すると、金の価値が高まるためです。
世界情勢に大きな変動があると、通貨や株式の資産価値は減少する可能性があります。
投資家は保有資産の減少を避けるために、安定資産とされる金を購入するため、金の価値が高まる仕組みです。
実際にウクライナショックにより、ロシアの通貨であるルーブルの対外的価値が乱高下し、市場の株価も急落するなどの影響が出ました。
一方で金価格は高騰の傾向を見せています。
ウクライナショックの影響はいつまで続くかが不透明であるものの、2022年の金価格に大きな影響を及ぼすと目されています。
円安も、金価格を高騰させる1つの要因です。
2022年の円相場は対ドルで20年ぶりの円安と言われており、2022年5月時点で1ドル=130円の大台を突破しています。
円安が金価格の高騰につながる理由は、金の価格は米ドルで決定されており、日本国内で金取引を行うときはドルを円に換える必要があるためです。
例えば金の価格が1グラム50ドルの場合、1ドル=100円であれば金の価格は1グラム5,000円となります。対して、1ドル=130円であれば金の価格は1グラム6,500円です。対ドルでの円安が進むほど、日本で金を売買するときの金価格は高騰しやすくなります。
2022年5月時点では対ドルでの円安となっているものの、今後も円安の流れが継続するとは限りません。市場予想がドル高・円安でまとまったり、政府当局のけん制が行われたりした場合は、円安から円高へと流れが反転する可能性もあります。
円安から円高に切り替わると金価格は下がるため、金価格の予想ではドル円の動向に注意しましょう。
上記の内容から分かるように金は今が売り時です。
金相場が下がる前にお売りいただくことをお勧めいたします。