マトラッセは1983年にシャネルのデザイナーとなったカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)によって生み出されたチェーンショルダーバッグです。
しかし、その原型は創業者のココ・シャネルによってすでにデザインされていました。
レディースバッグはハンドバッグやクラッチバッグが主流だった1920年代、片手が塞がることを疎ましく感じたココ・シャネルは女性用のショルダーバッグを売り出しました。
その約30年後、1955年にデザインをアップデートして「2.55」と呼ばれる伝説のチェーンショルダーバッグを発表します。
さらに約30年が経ち、1983年に2.55をルーツとしてマトラッセが生み出されたのです。
マトラッセの特徴は、生地にキルティング加工が施されており、菱形のふくらみが全面に見られることです。
フランス語の「マトラッセ(matelassé)」には「ふっくらした」「袋詰めされた」といった意味があり、菱形のふくらみを連想させるモデル名が名付けられています。
ショルダーチェーンに紐状のレザーが編み込まれていることもマトラッセの特徴の一つです。
一方、マトラッセの原型となった2.55はショルダーチェーンのみでレザーがなく、シンプルなデザインでした。
また、マトラッセはフラップを留める金具に"ココマーク"があしらわれているのも特徴で、ブランドのアイデンティティを強く感じることができます。
一方2.55の場合、フラップの留め金具にはシックで直線的な「マドモアゼルターンロック」が採用されています。
マトラッセの魅力はまずデザインの不変性にあります。先述のとおり、マトラッセは2.55をベースとして生まれたモデルです。
1955年に誕生したデザインを大きく変えることなく、半世紀以上経った今も高い人気を誇るマトラッセは、最新モデルでもクラシックな風格を漂わせています。
マトラッセのデザインの不変性は、ファッションアイテムとしての普遍性を証明しているともいえるでしょう。
また、多様な素材でコレクションを展開していることも魅力の一つです。
マットな質感のラムスキンや光沢に富んだキャビアスキン、上品で柔らかいカーフスキン、遊び心を感じさせるツイードなどの素材が使われています。
カラーは定番の黒以外に、赤や白、ベージュなどが人気を集めています。
「モナリザスマイル」と呼ばれるバッグポケットや、口紅がぴったり収納できるインナーポケットなど、ディテールへのこだわりも人気の理由です。
洗練されたデザインはさることながら、女性にとっての使いやすさも追及して生まれた“不朽の名作”です。